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ユーロ(EUR)の値動きの特徴とトレード戦略

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ユーロは第二の基軸通貨と言われるほど、主要通貨においても特に重要な通貨の一つです。円、ドルと並んで、初心者から上級者まで、稼ぎやすい通貨であります。

特にドルとの関係は深く、ユーロドルは為替市場において最も取引される通貨ペアです。

今回はそのユーロに関して、EUが抱える諸問題も解説しつつ、その特徴とトレード戦略について紹介していきましょう。


EUとユーロ圏の違いについてのおさらい

ユーロ国旗

まず通貨としてのユーロの特徴の前に、EUとユーロ圏に関する基本的な内容を少しおさらいしましょう。

「EUとは」

欧州は2度の世界大戦の主要な舞台となった過去があり、このような大戦を2度と繰り返さないためにも、かつてから欧州の統合は大きなテーマとなっていました。

また、米国の巨大な経済に対抗するため、というのも理由の一つとしてあげられるでしょう。

こうした流れの中で出来たのがEUです。

EUは欧州連合(European Union)の略で欧州の国々が集まってつくられた地域統合体を指します。

EUの目標は経済的、政治的統合であり、現在のところ関税や入国審査は撤廃が行われ、人やモノの移動が自由になる単一市場が実現しています。

これにより、EUは経済では対外的に、あたかも一つの国のように外国と交渉することができるのです。

EUの加盟国は現在28カ国にのぼり、総GDPは16兆ドル超とアメリカに匹敵するほどにもなるため、世界経済におけるEUの存在感は非常に大きなものになります。

 

「ユーロ圏とは」

しばしば、EUとユーロ圏を同じものだと考えている人もいますが、EUに加盟しているすべての国がユーロを導入しているわけではありません。

ユーロ圏はEUの加盟国のなかで、単一通貨であるユーロを導入している国々を指します。

この通貨統一も欧州統一の流れのなかで生まれたものですが、この政策には反対国も多く、全ての国への導入には至りませんでした。

ユーロを導入している国はEU加盟国28カ国の中で19カ国です。

EUとユーロ圏

このように、ユーロ圏はEUに内包される形で存在し、ユーロ圏における通貨政策はECB(欧州中央銀行)によって行われます。

※いくつかの国は欧州連合に加盟していないにもかかわらず、独自にユーロを導入していますが、こういった国は欧州中央銀行に代表を送ることができず、通貨政策は統一されていないため、ユーロ圏には含みません。

 

ユーロは1999年に導入された新しい通貨

ユーロ

ユーロは1999年に導入され、貨幣として流通し始めたのは2002年という比較的新しい通貨です。

しかし、現在ユーロは19カ国の間で導入されユーロ圏の総GDPは11兆ドルを超と非常に大きなものです。

アメリカのGDPが16兆ドル超ですから、ユーロ圏を一つの国とみなすならば、ユーロ圏はアメリカに次ぐ経済大国となります。

この経済規模の大きさから、比較的新しい通貨にもかかわらず、ユーロは基軸通貨としてのドルに続き、第二の基軸通貨と呼ばれるほど、主要通貨のなかでも重要な地位を築いた理由の一つとなっています。

特にユーロはドルと密接に関係していて、ユーロドルは為替市場において最も活発に取引される通貨ペアです。

また、ドルが売られるとユーロが買われるといった逆相関する特徴もあります。

 

為替市場に影響を与えたユーロの歴史と2017年のユーロの動向

「欧州通貨危機」

ギリシャ危機

一時はドルに変わって基軸通貨になるのではないか、とも言われていたユーロですが、欧州通貨危機により現在ではその存続を危ぶむ意見すらでてきています。

この欧州通貨危機はどのようにして起こったのでしょうか。

まず、ある国がユーロ圏に参加するには一定の条件が必要とされます。

それは、インフレを一定以下に抑制することや、財政赤字や債務残高がGDP比で基準以下であること。

また、金利が高すぎないことやユーロに対して自国通貨が安定していることなどが求められます。

これらの基準を満たしていないとユーロ圏として正式に認められないのです。

しかし、ギリシャはこの基準を満たしていないにもかかわらず、虚偽の報告をしてユーロ圏への加盟を果たしました。

これがのちに露呈し、ギリシャ国債が暴落したのが、欧州債務危機のきっかけです。

また、ギリシャが虚偽の報告でユーロ圏の加盟を果たしたということは、ユーロ圏に加盟する際の審査の信頼性にも疑問符が打たれます。

こうして、もともと財政が懸念されていた、ポルトガル、イタリア、アイルランド、スペインにもこの債務危機は広がり、本格的な欧州債務危機へ発展していきました。

 

「ユーロの構造的な問題」

欧州債務危機が広がり、なかなか解決に向かわなかった背景にはユーロの構造的な問題も存在します。

単一通貨のユーロを導入するということは、導入国同士で為替の変動リスクや通貨交換コストを無くすことができるなど様々なメリットが存在します。

しかし、金融政策が統一されている一方で、財政政策は各国が独自に行うため、それぞれの財政に応じた金融政策を行うことができないという構造的な問題が存在します。

通常、財政の悪化や、景気の低迷が起こった場合は、金利を引き下げることで、自国の通貨の価値を引き下げたり、景気を刺激したりすることが可能です。

しかし、金融政策はECBに統一されているため、各国の財政状況に応じた個別の金融政策を行うことはユーロ導入国にはできません。

このような状況が債務危機の解決を難しくし、各国財政の格差問題を生み出したとも言えます。

 

「ブレグジット」

ブレグジット

欧州の経済的、政治的統合を目指すEUにとって大きな痛手となる出来事が2016年に起こりました。

イギリスの欧州離脱、通称ブレグジットです。

背景にはEUに対する不信感や、イギリスへの移民流入問題などがありますが、これはイギリスだけの問題ではありません。

EUには中東から大量の移民が流入しており、移民の受け入れに対して反対しているEU加盟国はイギリスだけではありません。

また単一市場や通貨統合で人・モノ・資本の移動が自由になった代償として各国の格差も拡大しつつあります。

このようなすぐには解決できない問題を多数抱える中でのイギリスの離脱は、他の加盟国の離脱運動へ波及する可能性も高く、すでにEUでは各国で右傾化が進行しています。

2017年は欧州の選挙が重なる年ですが、右傾化の進行により既存の主要政党が軒並み弱まっており、欧州の今後の不透明感はいっそう高まっていきそうです。

 

「2017年のユーロ動向について」

現在ユーロは対ドルにおいて、2014年から2016年まで3年連続で下落しており、この下落トレンドが継続するかが一つの焦点となるでしょう。

全体の流れとしては、欧州の主要国で国政選挙が相次ぐなかで、昨年EU離脱を表明した英国とEUの条件争いなどが予想され、不透明感が漂う中で、ユーロには下落圧力がかかるものと見られます。

現時点の主な政治イベントは以下の通り目白押しとなっています。

  • 3月15日オランダ総選挙
  • 〜3月末までに英国首相がEU条約第50条による離脱を通告する方針
  • イタリアでの総選挙
  • 9月〜ドイツ総選挙
  • スペインのカタルーニャ地方の独立を問う国民投票
  • スコットランドの英国独立問題

ユーロ解体や、EU崩壊といった破滅的な結果に結びつくことは考えにくいですが、昨年の英国の国民投票や米国の大統領選の例もあるとおり、事前の予想が大きく覆るということは少なからずあるため、ユーロの今後の不透明感はさらに高まっていくでしょう。

 

ユーロドルとユーロ円のトレード戦略

ユーロドル円

「金融政策の違いを見てトレードする」

まず、トレードするにあたってECBとFRBの金融政策の方向性は押さえておきましょう。

これはユーロドルを意外の通貨ペアを取り引きする場合でも最低限押さえておくべきです。

というのも、最も流動性の高いドルと、それに次ぐユーロの動向は、他の通貨ペアの方向性にも大きな影響力持つためです。

また、当然ECBとFRBの金融政策の方向性に違いが生じた場合、中長期に渡ってトレンドが発生し、大きな収益機会となります。

 

「ユーロドル週足」

ユーロドル週足

通常、世界の金融政策は同じ方向を向くことが多いですが、方向の転換期などは各国の金融政策が別々の方向を向くことが少なくありません。

そして、それぞれの国の金融政策が逆方向を向いたとき、中長期にわたって一方的なトレンドが生まれます。

ユーロドルでは、2014年5月にFRBが量的緩和を縮小したのに対し、ECBが緩和政策を延長したことにより、ドル高ユーロ安のトレンドが始まりました。

2014年10月にはFRBが量的緩和を終了し、利上げに向けて動き出しましたが、一方ECBは緩和政策を継続し、このトレンドは2015年の3月頃まで続きました。

また、以下はユーロドルのチャートと欧米2年金利の差をグラフ化したものですが、こちらを見ても、金利差とユーロドルレートの間には強い相関関係があることがわかります。

「EUR/USDレートと欧米2年金利差推移」

ユーロドルレートと欧米2年金利差推移

このように、金融政策の違いからくる金利差は為替レートと相関関係があるため、各国の金融政策の方向性を理解しておくことはトレードする上で非常に重要です。

「IMM通貨先物ポジションをみてトレードする」

ユーロ・ドルレートとネットポジション推移チャート

このグラフを見ても分かる通り、IMMの通貨ポジションはユーロドルレートと強い相関があることがわかります。

そのため、IMM通貨ポジションの動向をユーロドルをトレードするときの一つの目安として利用することもできます。

詳しいIMMの見方については以下の記事に最新のデータとともにまとめてあるので是非こちらも参照してみてください。

『IMM通貨先物ポジションのデータ推移と見方、使い方』

 

「複数の通貨ペアの強弱を確認してトレードする」

ユーロドルやユーロ円をトレードする場合は、ユーロドル、ユーロ円、ドル円の最低3つの通貨ペアをチェックするようにしましょう。

これは、それぞれの通貨ペアの動きを見比べることによって、現在の相場がどの通貨主導で動いているのかを見極め、最も効率の良い時にトレードをするためです。

また、それぞれの通貨ペアの取引シェアを知っておくことも重要です。

以下の通貨ペア別の取引シェアをみてください。

これは各通貨ペアの取引高が全体の取引高の中で、どの程度のシェアを占めるのかについてグラフ化したものです。

通貨ペアごとの取引シェア

出典:BIS(2016年)

ユーロドルが23%と最も取引高が高く、それにドル円、ポンドドルが続いています。

一方ユーロ円はどうでしょうか?

ユーロ円の取引高は全体の2%ほどしかないのです。

このことから言えるのは、ユーロドルやドル円の動きが、ユーロ円に及ぼす影響に比べて、ユーロ円の動きがユーロドルやドル円の動きに影響することは少ないということです。

これを踏まえて各通貨ペアの動きを見比べていきましょう。

ドル・ユーロ・円

まず、ドル主導で動いている場合、通常ドル円とユーロドルは逆方向に向かって動き、ユーロ円は方向感のない動きをすることが多いと言えます。

これはユーロ円がドル円とユーロドルによってレートが算出されるクロストレードのため、ドル円の上昇とユーロドルの下落が相殺されてしまうためです。

次に、ユーロ主導で動いている場合、ユールとユーロ円は同方向に動く一方でドル円は緩やかに逆方向に動きます。

これはユーロが上昇した場合、ユーロドルの上昇によるドル安がドル円に影響するためです。

最後に、円が主導した場合はドル円とユーロ円は下落しますが、ユーロドルは横ばいまたは緩やかな下落になる可能性が高いです。

というのも、ユーロドルはこの3通貨ペアの中でもっとも流動性が高いため、ドル円や、ユーロ円の動きがユーロドルに影響しにくいためです。

しかし、ドル円が大きく動いた場合などは、ドル円の下落による相対的なドル安のため、ユーロドルの下落に繋がることがあります。

 

ここまで、各通貨が主導して動いた場合を説明しましたが、これは一つの通貨が動いた場合に他の二つの通貨が同程度の強さだった場合の話です。

実際の為替相場では3通貨が別々の強弱を示すことの方が多く、3通貨だけをみた場合でも、その強弱のパターンは6通りになります。

そして以下が、ユーロ、ドル、円の3通貨で見た場合の強弱パターンになります。

ドル・ユーロ・円強弱1

ドル・ユーロ・円強弱2

為替相場を見るときは、このように各通貨がどの強弱のもとに動いているのかを見極めることが非常に重要です。

強弱を見極めることによって、最も効率の良い通貨ペアを柔軟に見つけることができます。

 

ユーロポンド(EUR/GBP)のトレード戦略

ユーロとイギリス

ユーロポンドは同じ欧州通貨同士ということもあり、基本的に似たような動きをすることが多い特徴があります。

また、主に欧州時間に活発にトレードされるものの、日本時間はほとんど取引されないため、トレードするのであれば欧州時間から、または中長期に渡ってのトレードが良いでしょう。

その他では、ユーロの流動性がポンドの流動性を上回るため、ユーロの動きがポンドにあたえる影響の方が大きくなるという特徴があります。

これはつまり、ユーロポンドの動きがユーロドルの動きに与える影響よりも、ユーロドルの動きがユーロポンドに与える影響の方が大きいということになります。

そのため、ユーロポンドをトレードする場合は、ユーロドル、ユーロポンド、ポンドドルの3つの通貨ペアをチェックし、他の通貨ペアの動きがユーロポンドに与える影響を考えた上でトレードしましょう。

ドル、ユーロ、ポンド

 

まとめ

euro

では、これまでの議論のおさらいをしましょう。

ユーロは第二の基軸通貨とも呼ばれるほど、主要通貨の中でも重要な地位を築いていますが、

その一方で、EUとユーロが抱えている構造的な問題も存在し、ユーロの価値は最近下落傾向にあります。

2017年は、欧州の政治イベントが目白押しとなっており、それらの問題とどのように向き合っていくのかが一つの焦点となるでしょう。

トレードに関しては、各国の金融政策に注目し、金利差を狙ったトレードや、

他の通貨ペアを見比べることにより、ユーロに対して効率がよく、負けにくい通貨ペアを選択することの重要性を説明しました。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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